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September 13, 2005

冬の日高1839m峰と1823m峰 昭和59年12月31日から1月4日 越稜山岳会山行 

1839m01
1839m02
1839m03
 写真 左:登頂後鞍部から振り返る1839m峰 右上:1839m峰 右下:1823m峰まであとわずか
 古いものであるが、日高の記録をひとつ紹介したい。5人で新潟から遠征したときのもので、帯広わらじの会との合同登山(行動はまったく別)であった。数年後帯広の人たちの内一部ははインドのニルカンタ峰に遠征し、雪崩で帰らぬ人となった。忘れられない山行である。
 31日。ランドローバーで登山口に向かう。途中の景色は牧草地帯に民家がたまに出てくるくらいで、いかにも北海道らしいものであった。何の気なしに外を見ていると、なんと馬そりが今でも使われている場面に出くわす。これには正直いって驚いた。この年は10cmと雪が少なく、4WDは我々を札内ヒュッテ近くまで運んでくれた。
 朝の冷気の中、コイカクシュサツナイ川沿いにさかのぼる。谷底から見上げる山々は、なにかしら内地の山とは雰囲気が異なり、日高に来たことを実感させてくれた。上二岐からは冬尾根にルートをとった。上部には岩交じりのやせ尾根があり、クラストした雪とともに緊張の連続となる。やはり日高は簡単には稜線に立たせてくれないと思い、かえって感心したりもした。
 夕方やっとのことでコイカクシュサツナイ岳に出た。とたんに烈風の洗礼を受けた。と同時に、氷河地形を残す鋭い稜線が南北に延々と連なっているのが目に飛び込んできた。日高のうねるような山並みだった。この山稜を舞台に、以前本で読んだことのある数々のドラマが展開したのかと思うと、懐かしい気持ちになった。
 のんびりもしておれないので、稜線直下に雪洞を掘ることにした。硬いのでノコギリが大いに役立つ。わらじの会の人たちから、高床式(入り口から階段を登って床となる)の雪洞のつくり方を教わる。外気からの完璧なまでの遮断効果に、こちらも雪国育ちとはいえ、しんから脱帽した。
1日。この日は1839m峰を狙った。この山は主稜線から西にはずれているせいか実に目立つ山で、山容の険しさからも日高ではユニークな存在となっている。
 サブザックひとつで元気に飛び出した。気温はマイナス24度。烈風強く、日高特有のナイフのような稜線とあわせ、越後の山でもあまり経験したことのないような厳しさであった。ヤオロマップ岳(1794m)に近づくと暴風となり、風の息(しばらくしのいでいると少し弱まる時がある)をねらってほふく前進するようなかっこうとなってしまった。少しでも気を抜こうものなら、体ごと谷底までもっていかれそうなくらいだ。少し大げさだが、ヒマラヤのジェット・ストリームもかくやと思わせるほどであった。あまりのすごさに態勢を立て直さざるを得ず、早々とコイカクの雪洞へと引き返した。戻ってみると、今日の烈風を物語るかのごとく、全員顔面に凍傷を負っていた。
2日。今日こそということで早立ちした。もちろん完全にアイゼンの世界だ。風は昨日と同様厳しく、バランスを失って落ちないよう神経をすり減らした。ヤオロマップを越えると、ペテガリ岳、ルベツネ岳など南方の山々が姿を現わす。1943年、コイカク山頂のイグルーから延々15時間かけてペテガリ岳厳冬期初登頂をなしとげた北大山岳部のことが思い起こされた。
 ヤオロマップを越えて1839m峰方向へ進むと風は弱まったが、代わりにラッセルが深くなった。シピチャリ山方面には美しいカール地形が見え、感激した。基部まで近づいて見上げる1839m峰は驚くほど急峻で、両側が切れ落ちているだけに身震いするような斜面であった。ザイルを固定し、ピッケルを深々と突き刺しながら一人ずつ登っていく。重力に抗しながら必死に登った。2ピッチの苦闘の末、ついに風雪の山頂を足下にすることができた。ここまでが厳しかっただけに、さすがにうれしさがこみ上げ一人ひとり固い握手をかわした。
 3日。1823m峰を往復。
 4日下山した。
 初めての日高は、予想はしていたとはいえ厳しいものであった。寒さ、風、鋭い稜線、どれをとっても一級品であった。ヒマラヤの厳しさに匹敵するもので、忍耐を学んだ山行だった。

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