越後駒ヶ岳郡界尾根 昭和60年4月28日 同行kさん、Uさん
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写真 左:八海山から見る駒ヶ岳郡界尾根 右:厳冬期の郡界尾根(越稜山岳会提供)
越後駒ヶ岳に小倉尾根から登ると、対岸に険しい尾根が望まれる。この尾根が郡界尾根で、いつかはトレースしたいと考えていた。幸い60年と翌年4月(このときは駒の湯から)実現できた。古い記録だが、簡単に紹介したい。
4時荒山集落からかなり奥まで車で入ることができた。水無川沿いに30分でセンノ沢出合に着く。明け方の薄明かりの中、カグラ滝が落ちてくるのが見える。朝食を軽くとって沢に入る。一箇所雪渓が途切れていて、左岸を小さく巻く。再び雪渓に降りて見上げる沢は、びっしりと雪がつまっているようだ。対岸の八海山北面の荒々しい姿に驚く。
途中かなり狭い廊下状のところを越え、二俣に着く。ここで、今朝から体調がいまひとつだったUさんが下山することになった。本来は向かって左側を進むらしいが、今年は雪が少なく滝がかなり出ている。高巻きも難しくなりそうなので、右俣わきの雪渓をつめることにした。下からはゆるく見えた雪渓は登れば登るほど急になってくる。休めるところもなく、緊張したまま300mほど登ってやぶに取り付く。八海山北面の展望がどんどん広がってきた。やぶこぎわずかで、左へトラバースする。その後は大雪原と形容してもよさそうな沢が稜線までつづいているのに出会う。ここから見上げる池の塔は迫力がある。
このあとほどなく郡界尾根に飛び出た(7時10分)。このあたりがブラック大地と呼ばれる場所であろうか。アオリ池らしき地形も見下ろされる。沢の出合から所要時間2時間。郡界尾根のアプローチとしてはすこぶる有用だ。しばらくは雪をけって快調に進んだが、やぶが出てくる。
左側は雪山沢の大岩壁、右側は猛烈なやぶ。一歩誤ると思うと、慎重にならざるを得ない。8時25分池の塔着。ここから望む駒ヶ岳は壮大きわまりない。巨大なマキグラノツルネを派生させ、オツルミズ沢が深く食い込んでいる。このあとたどる稜線は雪がほとんどついておらず、苦闘が予想される。30分ほどやぶをこいで1400mピークにさしかかった所で、Kさんのピッケルがないことに気づく。途中で落としたに違いない。彼は池の塔まで少しという地点まで戻り、30分で回収してきた。
下りにかかると、左に見下ろされる日本有数の岩壁、金山沢がすごい。一箇所露岩があり慎重に通過する。第四スラブの突き上げにシュリンゲが数本残置されており、けっこう登る人がいるんだと認識を改める。最低鞍部手前でオツルミズ沢までつづく雪渓が出現。これ幸いとグリセードで谷底まで降りた。10時25分。
向かって右側にはマキグラノツルネがはるか高くそびえている。いよいよ頂上までこの沢をつめるのだ。郡界尾根は沢床から数十mしか高くないが、マキグラの方は頭上はるかに我々を圧し、ブロックもひっかかっており油断できない。しばらく進むと頂上らしきピラミッドが遠くに見えてきた。信じられないような高さだ。
蛇行する沢を忠実につめ、確実に高度を稼いでゆく。と、突然大雪崩の跡にぶつかった。ヒマラヤのアイスフォールもかくやと思わせるほどのスケールで、やっとの思いで渡りきった。寝不足のためかついつい休みが多くなる。フキギを過ぎ二俣を左にたどったら、一箇所雪渓が切れていた。ここぞとばかり冷たい水をがぶ飲みする。
ようやく小屋の鉄塔が見えてきた。大砂漠とでもいいたくなるような雪原を、足を引きずりながら歩む。駒の小屋着12時45分。小屋の名物おじさんも元気で何よりだ。センノ沢から来たといったら、暖かいMIROをご馳走してくれた。ゆっくり休んで山頂に向かう。1時15分到着。下りは早く、時折登山者に会うだけでどんどん降りる。まだ日があるうちに大湯まで下山することができた。
ここで話題をひとつ。映画「日本国憲法」をみた。じっくりと考えさせる内容で、あらためて憲法のかけがえのなさが心にしみた。機会をを作ってまわりの人に伝えていこうと思う。
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